COMMENT

敬称略・順不同

調査報道に徹する新聞社と記者によるタブーを打ち破る画期的な取材と人間的誇りを取り戻す女性たちの高貴な物語。
原作では描かれていない自由な取材スタイルを目の当たりにして、驚き、唸った。しかしこれも女性たちの置かれた厳しい日常なのだろう。この作品が世界の#Me Too運動をさらに励まし、拡大していくことを願う。
有田芳生 ジャーナリスト
説法めいたプロパガンダ映画かと思ったら全然違った。薄っぺらなヒロインではない。脆さと強さをあわせ持つ登場人物には圧倒的なリアリティがあり、その葛藤が他人事とは思えないのだ。震えが止まらない。キャリアに野心を持つミレニアル世代の女性達にぜひ観てほしい。巨大な落とし穴にはまる前に。
山口真由 信州大学特任教授
被害を受けた人がリスクを負わなければいけない社会。
そんな不条理を可視化すると同時に、"例え小さき声に思えたとしても、連帯し声をあげることで社会は変えていける"という確固たる事実を力強く証明してくれた映画。
私も連帯します。#METOO
辻愛沙子 arca CEO/クリエイティブディレクター
被害者に配慮した描写や、当事者たちの勇気を丁寧に描く脚本と演出に、製作者や俳優の強い使命感を感じた。その覚悟溢れるスクリーンを前に、観客は他人事ではいられなくなるはず。妻として、母として、そして一人の女性として、彼女たちの姿に胸を打たれ、人間の尊厳を守る大切さを改めて教えられた。
浅田智穂 インティマシーコーディネーター
調査報道映画はハリウッドのお家芸であり、本作もその伝統を受け継いでいる。しかしハリウッドの外からやってきた監督、脚本家は、正義を声高に叫ばず、危険な闘いに挑んだ記者たちの地道な活動、事件の深刻さ、告発者たちの痛みを描いてみせた。その繊細にして鋭いバランス感覚に痺れる!
高橋諭治 映画ライター
彼女たちはなぜ口を閉ざすのか?
何に怯えているのか?

不条理を告発するジャーナリズムをとらえた本作は、作り手のジャーナリスティックな視点を得て、生々しくもリアルなサスペンスとなった。『スポットライト 世紀のスクープ』に引けを取らない、強靭な社会派エンタテインメント。必見!
相馬学 映画ライター
女性に対する性的な搾取を制度化し、加害者である有力者を守る大きな社会構造。
小さな勇気の積み重ねと丁寧な取材でそのシステムに立ち向かっていく女性記者二人の姿が最高に凛々しい。
山崎まどか コラムニスト
信念をもって使命を貫くこと。
そして信念さえあれば、絶対に何かを変えられるーー。
「仕事の現場」を徹底して誠実に見つめたこの映画。
真実を求めて突き進む“彼女たち”から職業に関係なく人生への勇気を分け与えてもらう人、続出するのでは?
斉藤博昭 映画ライター
ひょっとすると本作において記者たちが対峙する真の相手は特定の人物なんかではなく、現代社会そのものなのかもしれない。
調査報道を「フェイク」と嘲笑い、曖昧な噂ばかりが「真実」としてネット上で飛び交う現在だからこそ観られるべき、真摯な映画だ。
長谷川町蔵 文筆家
公益のために権力者の違法行為を暴くことは記者の正義感という美しい物語の中だけに決しておさまらない。そこにはつねに「証拠」となる告発者の人生を崩壊させる可能性があるからだ。守るべき日常や家族を持つ彼らが権力者との死闘になぜ立ち上がったのか、その決断に涙が止まらない。
長野智子 キャスター・ジャーナリスト
恐怖に口を閉ざしてきた女性たちに一歩踏み出す勇気を与え、セクハラを放置してきた構造にまで踏み込んだ女性記者たちと取材を支えたニューヨーク・タイムズに、涙が止まらなかった。何のために、誰のために報じるのか。記者としての原点を改めて突きつけられた。
浜田敬子 ジャーナリスト
ゼロ距離で体感する痛みと憤り。

この映画が生まれた現実を呪い、

この映画が果たした意義を想う。

観てほしい。どうしても。
SYO 物書き
これは女性がセクハラ被害を受けた話ではない。それらの女性たちが勇気を持って名乗り出て、現代、そして将来の女性たちのために世の中を変えた話だ。それを率いたのはふたりの女性記者。優秀で勇敢なこのふたりは、妻でもあり、母でもある。全女性を力付けてくれる一作。
猿渡由紀 L.A.在住映画ジャーナリスト